ノロウイルス感染の実際
最初に子どもがノロウイルスによる感染性胃腸炎にかかったとしたら、その家族への感染率はかなり高いものになります。
子どもが感染性胃腸炎になって、家の中で吐く、下痢をすると、子どもの世話をしているお母さんも同様の症状になりやすいということです。
目に見えないごく微量のウイルスは家の中で想像以上の広範囲に飛び散っているのです。特にノロウイルスが感染しやすいのは、ほんの少数のウイルスの侵入でも感染・発病が成立してしまうからです。わずかな糞便や嘔吐物が残り、それが乾燥することで、その中に含まれているウイルスの粒子が空気中を飛びまわります。いわゆる空気感染であり、呼吸しているだけで経口感染する可能性があるのです。
ノロウイルスは胃腸にひびく風邪と表現されています。ノロウイルスに感染すると24時間~48時間程度で発症します。熱はあまり出ませんが、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が多く、特に強い症状は1~2日ほど続きます。後は徐々に回復してきますが、軽い人なら感染しても症状が出ないこともあります。
しかし症状が強い場合は危ないのです。それは体力が弱い小児、高齢者などが感染した場合です。脱水症状にもなりやすく、体力を消耗するので大変危険な状態になる可能性もあります。実際に病院や社会福祉施設で集団感染が発生したりすると、死者が出たこともあります。
けっして油断してはいけない疾患です。症状が治まっても、その後3日~5日間程度は、便にウイルスが含まれている可能性があるので、感染が拡大しないよう注意しなければなりません。