ノロウイルスの治療法
とにかくまずは診断、検査が行われます。一般的には臨床症状、周囲の感染状況等から推定して、ノロウイルスを原因だと診療することが多いようですが、臨床症状からだけで正確にウイルスによる病気かどうかを特定できません。
そこで使用するのが「ノロウイルス抗原検査」です。これは検査キットで便の中のノロウイルスを検出するためのものです。3歳未満、65歳以上の人なら健康保険も適用されています。医療機関においては医師が必要と認めた場合の診断補助として使用されています。
この検査のメリットは結果が早く出るという点ですが、ノロウイルスに感染していても陽性にならない場合もあるというのが弱点です。
もっと確実とされるのはウイルス学的診断による検査方法です。これは対象者の便、吐しゃぶつを遺伝子検出の方法(電子顕微鏡法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法など)でウイルスの検出をして診断する方法です。便には大量のウイルスが含まれているため、ウイルスを検出するのは容易です。
しかし、実際には食中毒、集団感染の原因究明などの目的で、行政機関や研究機関等が行うというのが本筋です。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎の治療についてですが、感染力が強く感染経路も多様なのに、実はワクチンや有効な抗ウイルス薬も無いのです。ノロウイルスに有効な薬は、残念ながら現在でまだありません。
効果のある抗ウイルス剤がないので、一般的には対症療法ということで、その症状を和らげる療法が行われます。体力の弱い乳幼児、高齢者の場合は、脱水症状を警戒して、水分と栄養の補給を充分に行うことが重要です。脱水症状がひどいなら、病院での輸液も必要になります。あとは吐き気を抑える薬や胃腸を整える薬で症状の緩和をします。